またまた、昔話シリーズです。
日本昔話「鶴の恩返し」を紹介したいと思います。
ホントのお話は、罠にかかった鶴を助けると、その鶴が恩返しをしてくれるというお話です。
ここから先は、夢も希望もない別のお話になります。
鶴の恩返し
昔々ある所に、若い木こりが住んでおりました。
ある日、若い木こりが罠にかかった鶴を見つけます。若い木こりは、仕方なく鶴を罠から助け、逃がしてやりました。
その数日後の夜、木こりが家でくつろいでいると、娘が訪ねてきて、今晩泊めてくれ!というではありませんか!木こりは、またまた仕方なく泊めることに…。
そして、翌日、娘が言いました。
「こちらに糸はありませんか?お礼に布を織らせて下さいませ。」
「糸? その辺のぼろ布をほどいて使ってくれ!糸を買うような余裕はないんゃ。すまんな…。」
「わかりました…。」
娘は、その辺にある布を持ち、木こりに言いました。
「今から、布を織りますが、絶対に覗かないで下さいね。」
「あ~、わかったわかった。」
そして、数時間後、娘から一反の布を渡されます。
「こちらがお礼の品になります。こちらを売って、少しでも生活の足しにして下さい。」
木こりは、一目散に売りに出掛け、そして、ホクホク顔で戻ってきました。
「えぇ値段で売れたゎ。代わりの糸買ってきたんで、もっと織れへんか?じゃんじゃん織ってくれたら、わしが町に売りに行くから…。」
「わかりました。がんばります。でも、何度も言うようですが、私が織っている間は、絶対覗かないで下さいね。」
「わかっとるがな…。」
それから、娘が織る反物は、どんどん値段が跳ね上がり、木こりは裕福な生活になりました。
お釜の隣にあるツボの中に小判をため込み、豪遊さえもできるようになりました。
ある時、木こりは、疑問に思いました。娘が日に日に弱っていくではありませんか…。
「(ヤバぃ!このまま娘が寝込むようなことになったら、布が織れなくなるゃなぃかっ!ほしたら、金が入らんようになる!)娘よ、ちょっと休んでもぇぇんちゃうか?」
「ぃぇぃぇ、休んではいられません!一度、休むと癖になりますから…。それでは、布を織りにまいります。絶対に覗かないで下さいね。」
「わかった!わかった!何度も言うなっ!」
とは、言ったものの娘の弱り方が気になった木こりは、あんな豪華な布をどうやって織っているのか不思議に思い、とうとう覗いてしまいました。
「見てしまったのですね…。あれほど、覗かないでと言ったのに…。正体を知られてしまっては、ここにはいられません。さようならぁ~」娘は、以前木こりが助けた鶴でした。
「待ってくれぇ~~~!おいらは、これからどうやって稼いだら…。お~ぃ…」
いくら叫べど、鶴は戻ってきませんでした。
ですが、木こりは、諦めきれません。楽して稼ぐことを覚えてしまった木こりは、どうしたら楽に稼げるかを考えました。
「(ひょっとすると、鶴って、恩を売れば、必ず返ししてくれるんかな?ほな、一度捕まえてみるか…。)」
木こりは、野山で罠を仕掛けます。数時間後には、一匹の白い鳥が捕まります。
「(しめしめ、捕まっとる。)」
木こりは、その白い鳥を罠から助けてやりました。
その後、娘がやってきます。
前の娘と同じことを言い、その日は、木こりの家にご厄介になりました。
翌日の朝、前の娘と同じように言いました。
「糸は、ありませんか?」
「あるある!!これで、どゃ?」
「助かります。布を織りますので、絶対覗かないで下さいね。」
「わかっとる!わしは、出掛けてくるんで、好きにしとき!(やったぁ~!これでまた、ぐ~たら生活復活ゃっ!!)」
木こりは、いつものように遊びに出掛けました。
そして、遊び呆けて、家に戻ってくると…
家の中は、もぬけの殻…。その上、ツボの中の小判もありません。
まさか…やられた…。
あれは、サギだったのか…。
ちゃんちゃん
皆さんも不用意に人を信用して、家にあげないようにしましょうねぇ~。